今回の対談は、人気の洋食店「キッチン高山」の高山さんとの「対談」後編をお送りいたします。前編では、高山さんが料理を始めた頃のお話や、横浜修行時代のお話を聞きました。後編は料理のことや、現在のお店のことを中心に伺いました。
ゲスト キッチン高山 高山さん
聞き手 株式会社クッキングオン 代表取締役 寺見
対談場所 キッチン高山
寺見 修行時代の、フランス料理で勉強になったことはありますか?
高山 そうですね。やはり今でも基本になっている、調味料の足し方ですね。
寺見 足し方ですか?
高山 そう。例えば、フランス料理では料理を火にかけて、塩味を付けていく時は、味を見ながら少しずつ足していきます。いきなり決まった分量を入れることはそうありません。塩などは、入れすぎてしまうと、引いてしまうことは出来ませんからね。
寺見 なるほど、確かにそうですね。私なんかは、塩を入れすぎて料理を台無しにしてしまうこともしばしばあります(笑)
高山 あと胡椒などは、味付けの最後の方にいれます。最初に入れてしまうと風味が飛んでしまいますから。そうゆう、私の料理の基礎の部分は、フランス料理で学んだことですね。
寺見 料理のレシピ本には、定量の塩の量しか明記されていないですからね。
高山 そこが先ほどもお話した、自分の舌に叩き込むというか、覚えこませるってことにも繋がります。修行の成長過程で大切なことだと思います。
寺見 現在のお店のことについてお聞きしたいのですが、どうして児島でお店を出すことにされたんですか?また、どうして洋食だったのでしょうか?
高山 はい。田舎のあった岡山に帰ってきて、イタリアンなど、何年か飲食店で経験を重ねました。その頃には自分も店を出したいという思いが芽生えており、物件を探しておりました。その時期に友達が所有している物件の一階を紹介されたんです。
寺見 そうなんですね。場所など不安はなかったですか?
高山 児島は、都会という感じじゃないですよね。都会の駅前など、もっと街中でお店を出せば集客には困らないかもしれません。だけど、家賃が高い。その家賃の部分を食材に還元して、お客様に喜んでもらいたいと思ったんですよ。しっかりした事をしていれば、お客さんは来てくださると思っていました。
寺見 なるほど。和食・フランス料理・イタリアンなど経験してこられて、なぜ洋食店を開業しようと思われたんですか?
高山 はい、自分がまず洋食店が好き。そして勝烈庵にいたことは自分の中で大きかったのと、それをベースに、今まで身に付けてきたものを洋食に落とし込みたかったんです。僕は何年も自分の店を持つならと考えてきました。その結果が今のキッチン高山です。もう頭の中では何周もお店を開店した時のことをシュミレーションしていました。
寺見 僕はそれを、料理人さんの最高の楽しみと呼んでいます。持たれてる技術で、お店をしたらと想像して楽しむことが出来る(笑)
高山 でも面白い話があって。お店をする前に周りの人に、こういうお店を児島で開業しようと思うんだと話して回ったんです。するとみんな反対しました。
寺見 え!そうなんですか。
高山 だからやりました(笑)
寺見 それはどうゆう・・・
高山 みんな賛成する店はどこにでもある店です。想像の範囲を超えない。オリジナリティーがないってことです。それでは最初はよくても、長続きはしない。
寺見 高山さんの哲学ですね。その考えが今のキッチン高山の根底にあるんですね。高山 よくも悪くも考えがブレることは、非常にリスクがあると考えています。時にはやわらかい考えも必要ですが、なんでも流行りなどに流されてはいけないなと考えています。
寺見 一緒に働いている従業員さん達のことをお伺いします。従業員さん達はどんな存在ですか。
高山 とても大切な存在ですよ。みんな協力してキッチン高山を盛り立ててくれています。
寺見 そうですね。それは凄く感じます。
高山 一番思うのは、パートさん・アルバイトさんは今日を作ってくれている。僕がするのは明日を作ることなんだなと。
飲食店をしていたら、トラブルなど色んなことが起こります。その時は働いているみんなで対応します。僕は、今度そういうことが起きた時のシステムなど、お店の未来を見据えたことを考えて伝えていく。トラブルだけじゃなく、すべてのことをです。こんな感じで毎日キッチン高山は回っています。
寺見 高山さんに限らず、お店を運営されていく方の大変さは本当に頭が下がります。
高山 基本は、食べに来てくださるお客さんあってのことだということは忘れてはいけません。その為にキッチン高山のメンバーも頑張っています。
寺見 高山さんは陶芸もされてますよね、お店でも作られた作品が多く使われていますよね。
高山 はい、僕が作った物と、寺見さんから購入した器です。
寺見 ありがとうございます(笑)来られるお客様にもこの辺りも楽しんでもらいたいですね。
高山さん、今日はお忙しい中お話しくださりありがとうございました。とても面白いお話を伺うことが出来ました。横浜時代の話はもっとお聞きしたかったですが。
高山 いえいえ、本当色んなことがありましたよ、まあ、またの機会に話しましょう。
寺見 楽しみにしておきます。本日は当社ホームページ企画「対談」にご協力くださりありがとうございました。