前編から続き、より深い話を伺いました。羽田さんとの出会いから始まり、木村さんが考えがより分かる中編!!
アールブリュットさんファン、また未来のパティシエ・パティシエール必見の内容になっております。アールブリュットさんのケーキ、またはパンを食べながらご覧頂ければより楽しめる内容になっております。
ゲスト 株式会社MOKUSON 代表取締役 木村 充均さん
聞き手 株式会社クッキングオン 代表取締役 寺見 真一
対談場所 パティスリー&ブーランジェリー アールブリュット
寺見 さあ、中編はアールブリュットさんのブーランジェリーの中心を担う人物。羽田(ハタ)さんの話からお伺いします。
木村 はい。羽田さんとの出会いは、当社が二年目のクリスマスにコラボさせてもらったのが出会いなんです。
寺見 羽田さんは倉敷でパン屋さんをされてたんですよね?
木村 はい、そうです。その時羽田さんのパンを食べて衝撃受けまして、この人だったら私の考えている「伝統」を大切にした商品をお客様に提供出来ると思ったんですよ。
寺見 そうなんですね。でも羽田さんは倉敷のお店がありますし、どうしたんですか?
木村 そこから3年かけて口説きました(笑)
寺見 木村さんの思いが伝わったんですね。
木村 羽田さんも私と同じように、酵母だったりとか、伝統の作り方をベースにして幅を広げてレパートリーを増やす感じなんですよ。お話しているうちに、この人は今後のアールブリュットの展開に必要な人だと思いました。羽田さんに出会って、一気に可能性が広がりましたね。
寺見 今後ですが、まだ色々計画があるんですね?
木村 はい、まだシークレットな部分があるんですが(笑)様々な計画を考えています。その時は寺見さんにも協力してもらいます。
寺見 楽しみです。
木村 やはり、全国の方にアールブリュットを知って頂きたいので、まだまだ頑張ります。
寺見 木村さんは、若い方の技術の向上のために指導にも出向かれています。高校の調理科などにも講師としていかれてますよね?
木村 そうですね、学生さんにはなるべく基本を大事にすることを教えてます。作るメニューも基本的なお菓子や、お皿盛りなど、先ほどからお伝えしている「伝統」の大切さを教えることが多いですね。
寺見 プロになれば、職人になるわけですが、肉体的に大変な面もありますよね?
木村 そうですね、技術ってそんな簡単に覚えられるものではないんです。忍耐勝負になると思います。でも、情熱があればそこは苦にならないと思います。技術職なんで、やればやるだけ自分の身に付きますし、強制はしませんが、僕は学びたいという人には徹底的に教えます、自分の時間を割いてでも教えています。本気でやってる人の為に時間を割くのは全然いいかなと思ってます。
寺見 働いている方の真剣さが、お客様に喜んでもらえることもありますよね?
木村 例えば思い出に残るバースデーケーキ、その日しかない大切な日。その人の為に特注ケーキを作るのが私は凄く好きなんです。その方に喜んで貰えるよう真剣に作るんですが、それを実行出来る技術力が大事ですし、その想いと技術の乗ったバースデーケーキは、お客様が大変喜ばれます。
寺見 技術職という話がありましたが、今様々な業界で「職人」と言われる人が減ってきてます。それについてどう思われますか?
木村 この20~30年、日本国内では安くしていけば良いというマインドが強くありました。本当に良い技術で、しっかりした物は金額が上がるんですよ。それは詐欺まがいで上げてるんのではなく、それ相応の技術がのってるんですよ。価格だけを追って、安ければ良いという考えだと、どんどん本当の職人が減っていきます。例えば、うちわ職人とか大工さん、伝統工芸などもそうです。良い職人が居なくなってしまいます。
寺見 人口も減って来て、後継者不足の問題も出てきています。良い伝統文化が衰退していくのは本当に悲しいことです。
木村 アールブリュットの商品は高いと言われることがあるんですが、良い物を時間を掛けて作りますので、お値段も上がりますし、儲かればいいだろうといい加減な気持ちで作ってないので、大量生産も出来ませんし。適当な商品を売りたくないんですよ。
寺見 なるほど、アールブリュットの芯になる部分ですよね。
木村 中々それが受け入れられない人もいるでしょうけど、私はそう思います。例えば、お子さん達の健康に気を使うなら、量販店の安いお菓子ではなく、本物の材料で作った物を食べさせてあげてほしいです、舌を養ってほしいですね。安いケーキなどには安い理由があって、本当の材料が使われず、バター風の物など、色々な物が使われています。それと不景気だからと言って、安い物ばかり買っていると、良い職人達も居なくなってしまいます。
寺見 お菓子の世界もそうですし、全ての職人に通ずることですね。年齢を重ねると「伝統」「文化」の大切さがよりわかります。
木村 それを若い人にも、若いうちから感じて欲しいんですよ。それを伝えていくのも私達の役目と思っています。
寺見 次回後編になりますが、番外編的なことを聞きたかったんですよ。例えば「ミルフイユ」
木村 「ミルフィーユ」じゃなく「ミルフイユ」ですね(笑)
寺見 そうです、あと専門的な言葉「クレームパティシエール」
木村 一般の人は中々知らないかもしれないですね。では、後編でお話しましょう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・後編へ続く・・・・・・